こんにちは。
英語を教わったのは、中学生になってからでした。
日本語と英語を比べて違うことがたくさんあったので、いくつも疑問が湧きました。
空家や解体についてお困りでしたら、→「有限会社エイキ」のサイトをご参考になさってください。
英語の疑問の例
私が抱いた疑問は、
例えば、
1.
日本語で「彼」は、主語の「彼(は)」も目的語の「彼(を)」の両方とも同じ「彼」という漢字です。
でも英語は同じ「彼」の意味なのに、”He”と”him”と違うスペルの単語を使うのはなぜか?
2.
“11”と”12”の発音だけが変。
“13”と”14”と”15”が「サーティーン」「フォーティーン」「フィフティーン」と発音するのだから、
“”11”は「ワンティーン」・””12”も「トゥーティーン」と発音したらいいのに。
3.
“He is a student”の疑問文は、主語とbe動詞を反対にして作り、”Is he a student ?”です。
しかし、”He plays a tennis”の疑問文は、突然どこからともなく”does”がやってきて、”Does he a student? “になります。
be動詞と同じく、単純に主語と動詞を反対にして”Plays he a tennis? “にしたらいいのに。
(または三人称単数現在の”s”を取って、”Play he a tennis?”でもいいです)
ブー、ブー!!!!!!
(-_-)/~~~ピシー!ピシー!
こういう疑問が一つでも頭に浮かぶと、先生のお話についていけなくなって、ぼーっとしていた時期がありました。
ローマ字の発音と英語の発音が異なることすら疑問でした。
そのうち、「英語とはそんなもんさ」と割り切って、規則性にこだわらず暗記するようになりました。


この明治41年発行の教科書には、以下の写真のように、
“You have a 〇〇”の疑問文は、”Have you a 〇〇? “だと書かれていますね。
これも不思議なことです。
中学1年の教科書の例文に、”gun”(銃)という単語が出てくる点が、明治時代を表していますね。
主語→動詞→目的語(SVO)の謎
疑問のなかでも、英語の語順が謎でした。
「私はお菓子を食べます」が
“I eat sweets.”
日本語のように、
“I sweets eat”
と言えばいいのに!
英語は、どうして目的語と動詞をひっくり返して喋っているのか?
英語を話す人々は、本当はまずは頭の中で「私はお菓子を食べる」と思い浮かべていて、次に英語の規則に従って”I eat sweets.”と言っているだけなのかな?
とも考えました。
大学生になったときは、さすがにそのようには考えなくなりました。
替わりに、「頭の認識構造が日本人と違って、動作(動詞)を先に認識する癖が脳についているのか?」
と考えるようになりました。
「他方、日本人は相手(目的語)を先に認識する思考回路が頭に出来上がっているのだろう」と考えました。
言い換えると、
「母語として習得した言語によって、認識構造が異なってくる。今まで正しいと信じていたことすら、他の言語が母語ならば正しいとは思わなくなるのではないか。すなわち、ある言語体系に置いて正しいとされることはあるが、絶対正しい認識方法などは無い。究極的な真実を人間は知ることが出来ない」とも考えました。
正直申しますと、実は今もそう考えることがあります。
今から千年前の英語の語順は、SVOとは決まっていたのではなかった。
ネット検索をしていくと、『現代英語を英語史の視点から考える』(堀田隆一慶応大学教授)という連載を見つけました。
この目次に「なぜ英語はSVOの語順なのか?」がありました。
「やったー」とワクワクしながら拝読しました。
新たに分かったことを記します。
※私なりに熟読したものの理解間違いがあるかもしれません。ご容赦ください。
※文章と図の引用は、
→『現代英語を英語史の視点から考える』(堀田隆一慶応大学教授)
【1.英語式SVO語順よりも、日本式SOV語順の言語が多い】
おお、安心しました。
SVOやSOV以外の語順が通常である言語もあり、これも人(言語?)の多様性を思い愉快な気持ちになりました。
【2.古英語は今から千年前は、SVO語順とSOV語順が半々くらいだった】
この表にも嬉しくなりました。
現代英語のSVO語順が優位になったのは、西暦1300年以降だったのですね。
さらに、古英語ではOVSなど全ての語順が可能だったそうです。
なぜ可能だったかと申しますと、古英語には「屈折」 (inflection) と呼ばれる手法があったからです。
屈折とは,名詞,代名詞,形容詞,冠詞,動詞などが,文中での文法的役割に応じて語形(特に語尾)を変化させることです。
(架空の例ですが、)
「牛・猫・愛す」。
全ての語順が許されているならば、「牛が猫を愛する」のか「猫が牛を愛する」のかが区別できません。
しかし、「屈折」 (inflection)という単語の語尾を変化させる手段を使うと、区別できます。
(これも架空ですが、)
牛を主語にしたいならば、「牛n」という具合に「n」(これが屈折)を名詞の語尾に付けるのです。
同様に猫を目的語にしたいならば、「猫m」というように「m」(屈折)を付けます。
すると、語順に関係なく、主語と目的語が判明します!
【3.英語が「屈折」重視型から「語順」重視型の言語になった理由】
「屈折」は語尾につけます。
そして、英語のアクセントは第一音節が主です。
ということは、おのずと語尾にある「屈折」部分が発音しにくく聞き取りにくく不明瞭になります。
語順が自由なままで「屈折」が役に立たなくなりますから、どちらが主語でどちらが目的語かが判別しにくいですね。
分かりやすさを重視した結果、「屈折」方式は消滅の方向となり、逆に「語順」方式が優勢となってきました。
動詞をはさんで先にあれば主語(S)であり、後ろにあれば目的語(O)と自動的に判別できるようになったのです。
(この結果、主語と目的語の判別が分かりやすくなったものの、語順を守らなければいけなくなるという窮屈さが生まれました)
実は、「屈折」方式が廃れ「語順」優位になった理由は、社会的な原因もあります。
それは、8世紀から9世紀の北欧からのヴァイキングの襲来です。ヴァイキングのイングランド襲来は,古英語に著しい影響を及ぼしたのです。
ヴァイキングの古ノルド語と古英語の「屈折」には違いがありましたので、お互いの円滑なコミュニケーションが困難でした。
そこで、お互いの「屈折」を捨て、「語順」を選んだのです。
なお、語順がSOVではなくSVOに統一したいった理由は連載からは明確には読み取れませんでした。
次のような文章はありましたが、『(古英語時代から)すでに基本語順はSVOに傾いていた』という理由が気になります。
では,語順の決め打ちという解決法に訴えかけたことは理解できたとしても,なぜOVSやSOVではなくSVOが選ばれたのでしょうか.それは,前編で触れたように,古英語は語順が自由とはいっても,厳密には「比較的」自由ということであり,すでに基本語順はSVOに傾いていたからです.確かに古英語ではSOVという語順も決して無視できないほど勢力を有していましたし,中英語に入ってからもSVOの圧倒的な独り勝ちを許さないほどにはプレッシャーをかけていました.しかし,最終的にはSVOが勝利しました.これまでの説明からは,ある時を境にSVOの語順が一気に定着したかのように思われたかもしれませんが,実際には現代的なSVO固定の状況に落ち着くのに中英語いっぱいの期間を要したのです(以下,拙著 p. 101 の図を再掲).それでも,振り返ってみれば,SVOへの固定化は既定路線であり,時間の問題だったと言ってよいでしょう.
日本語の語順の自由度
さて、日本語を振り返ってみます。
日本語の語順は基本的にはSOVという前提で、英語との語順の違いを記してきました。
しかし、日本語は助詞の存在のおかげで語順の自由度が高いですね。
「私は・ケーキを・食べる」
「ケーキを・私は・食べる」
が一般的ですが、
時には、
「私は・食べる・ケーキを」
「食べる・私は・ケーキを」
「食べる・ケーキを・私は」
「ケーキを・食べる・私は」
という語順でも意味が通じます。
日本語は便利な言葉ですね。
逆に、助詞の使い方に慣れていない日本語学習者にとっては、日本語の語順の自由度に戸惑うかもしれません。